不可解な恋愛 【完】
取り立てから2週間経っても、事は何も進展を見せなかった。
同じ毎日が、ただただ繰り返されていく。
「あの経営者の男の居場所、まだわかんねぇのかよ」
この、俺の口調に棘があったことにムッとしたのか
同僚が面倒臭そうにゆっくりと振り向いた。
「仕事が遅くて悪かったな」
「誰もそんなこと言ってない」
「俺だって忙しいんだよ。だったらてめーが探せ。はげ」
「はげてねーし。お前低俗すぎんだよ、毎回毎回」
石田さんに、保証人が奴の店のいちホステスで、返済能力0であることを伝えると
彼は不愉快そうに眉を顰めて、損害遅延金だけでもいいから搾り取って来いと言った。
彼女には無理です、とは言えず、俺はわかりましたとだけ答えたのだった。
とりあえず、組に迷惑をかけずに自分にできるのは、あの男を探しだすこと。
もしくは親族。年老いた親?妻?子供?関係ない。
こいつらから、全額きっちり徴収してやるんだ。