不可解な恋愛 【完】
『こんなこと言うと、すごく下等な人間みたいだけど、』
「なに…?」
『こうして一緒に居ると、キスしたいとか、愛してほしいとか、思っちゃうの』
杏奈は、空を見上げていた目線を芝生に落とした。
『2番目でいいの』
「…え?」
『2番目でいいから、私を、神崎さんの彼女にしてください』
凛としたまま、彼女は言った。
何を考えているかわからなくて、世間知らずで、能天気で、独りでは生きていけない
杏奈のことを、そんな風に感じていたが
こいつは、本当は芯のある女だと思った。
1番とか2番とか、人間に順位をつけるのは嫌いだ。
こういう面倒が嫌いだから、誰か一人に留まるのを避けていた頃もあった。
薬とギャンブルと女と
嵌まって一番面倒な目に遭うのは女だと上司が言っていた気がするけど、本当そうだ。
もう、後戻りできないところまで来ているのはわかっている。