不可解な恋愛 【完】
金森との接触は一度石田さんに相談してからにしようと、東京へ戻った。
石田さんは、今度は夜の時間帯にもう一度出直すように俺に告げた。
まぁ、もっともな命令だ。馬鹿か俺は。
その夜家に帰ると、見慣れた背中がソファーに腰掛けていた。奏音だ。
煙草の煙が彼女の背中越しに上がっている。
何も言わずに隣に座ると、たいして驚いた顔もせず、彼女は「おかえり」と小さく呟いただけだった。
疲れているんだろうか。いつもと少し様子が違い、些か気になる。
スーツを脱ぎながら、なにかあったのか尋ねると、彼女は切なげに笑って、言った。
「今日久しぶりに見ちゃった、」
「なにを?」
「人間の死に際」
「ああ、」
奏音は指でピストルの形を作り、暖房のリモコンを操作していた俺に向けた。
石田さんは、今度は夜の時間帯にもう一度出直すように俺に告げた。
まぁ、もっともな命令だ。馬鹿か俺は。
その夜家に帰ると、見慣れた背中がソファーに腰掛けていた。奏音だ。
煙草の煙が彼女の背中越しに上がっている。
何も言わずに隣に座ると、たいして驚いた顔もせず、彼女は「おかえり」と小さく呟いただけだった。
疲れているんだろうか。いつもと少し様子が違い、些か気になる。
スーツを脱ぎながら、なにかあったのか尋ねると、彼女は切なげに笑って、言った。
「今日久しぶりに見ちゃった、」
「なにを?」
「人間の死に際」
「ああ、」
奏音は指でピストルの形を作り、暖房のリモコンを操作していた俺に向けた。