儚キ想イ

＊短編＊

着たくなかった服を来て向かう場所


みんなが悲しみを分かち合う場所


同じことをする場所


される場所


もう行きたくない場所


春の桜が咲き誇る門をくぐり抜け

たどり着く場所は


まるで…地獄



｢はぁ〜今日もいい天気だね〜明日から俺も中学生だぁ〜楽しみだなっ……と〜｣

　幼なじみのコイツとはいつも遊ぶ中で別段付き合っているとかそういうのではない。

ただ仲がいいだけ。

家が隣っていうのもあるけど…。

｢ところでさ、シノは将来何になるの？｣

｢私は…とりあえず幸せな家庭を作ることかな♪｣

｢どんだけ夢見てるんだよ(笑)｣
｢夢はいくら見ても減らないからいいの♪｣

　毎日毎日つまらない時間なんて感じたことはない。

コイツ(ナギ)といたら。

｢俺なんかちゃんとした夢あるんだぜ♪｣

｢何？｣

｢さぁな〜♪｣

｢そこまで言ったんならいいなよ｣

｢お前がもっとマシになったらな☆｣

｢マシって何よ!?もう訳わからない―！｣

　同じ様に朝がきて違う時間を過ごしてまた夜を迎える。

人間はそれを当たり前のように
毎日繰り返し続けている。

今ですら。

｢もう帰ろうぜ☆明日起きれなかったら大変だし♪｣

｢ヤケにテンション高いね。そんなに楽しみ？｣

｢そりゃ〜高いに決まってるだろ!?｣

｢何で？｣

｢中学生になったら彼女作れる率がば――ん！と上がるからだよ♪｣

｢はぁ…呆れた。帰るねバイバイ｣

　陽が傾き始めた時間。

丁度区切りがいいと思い私は帰ろうと決めた。

｢待ってくれよ〜１人は寂しいぜ〜!?｣

｢嘘つけっ！そんなんじゃ女の子寄ってこないよ！｣

｢へ〜んだ♪シノなんかに負けるかよ♪｣

｢勝負するなんて言ってませんよ―だ！｣

｢へいへい！じゃあなっ｣
｢明日遅刻しなよ！｣

　別れ際に『シノがなっ』って聞こえたのは私の空耳なのかな…。

まぁどちみち、私は遅刻しませんよ。

その日の夜

涙が止まらなかった

悔しかった

率が上がる？

私は……

入ってないのかな…