儚キ想イ
 あの日以来、私となつは毎日のように遊んでいる。

街にいったりプリクラ撮ったり、ご飯を食べたり…前よりも仲良くなれた。

学校でも同じ班になれたりもした。

 そんなある日。

「ごめん!今日遊べない…」

「そうなの!?まぁいいよ!気にしないで」

「ごめんね!バイバイ!」

 放課後。
部活動とかいろいろしながら頑張っている人達を見ると私はどれだけなまけているんだろう。
と思わされる。

「はぁ…」

 相変わらずナギが離れない私の頭の中。

もう何ヶ月も経ってるのに。

「…………ん?」

 目線を前に向けてみるとそこにはまたなつと………ナギ。

「なにしてるんだろ…」

 バレないような近づいてみる。

ちょうどしっかり声が聞こえるぐらいの場所で立ち止まった。
「あんたわかってんの?」

「だから……無理だって…」

「何でそんなこというの?まだやってないんでしょ?」

「…………」

「やる前からわからないとか言う奴は大嫌い」

「はお前のその仮面が嫌いだ」

「あら?悪い?」

「外面だけを大切にするやつなんかよりシノみたいに中身がいいやつが本当の人間だ」

「わけわからない。無駄口うってないで早くあの女どうにかしなさいよ」

 あの女って…………私………?
 また早まる鼓動。

あの時みたいに抑えられなくなってきた………。

 もうこれ以上ここにはいられない。

早く……帰らないと………。

「私は明日あの女連れてまた港行くから、あんたも来なさい。来なかったら…分かるわよね………?」

「………わかったよ」

 なつじゃない。

あんなのなつじゃない!

あんなことしない!

あんな性格じゃない!

昨日の夜のあの優しかったなつはどこにいったの!?

 家に帰ってもおさまらない鼓動も息も何もかも、訳わからなくなった自分ですらわからなくなってきた。
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