儚キ想イ
ご飯もいらない。

電話が来てももでてない。

(こんなのじゃ……駄目だよね……)

 自分にあきらめがついた。

(明日…なつについていく)

 小さな誓いをして夜を迎えた。


 次の日。

やってきたといわをばかりになつが近づいてきた。

「ねぇシノ!遊ばない?いい場所みつけちゃったんだ♪」

「いいよ!」

 私がなつの目的を知っていることを知らないっていう状態が反対に怖い…。

もしかしたらしっているのかな……。

「……すごいね…」

「でしょ!?」

 港についたときに感じたあの空気は…ナギが連れてきてくれたときとは違った。

堅くて冷たくて……寂しかったようにかんじた。

「それにしても変わらないね…この港」

「そうだね…」

「ゴホッ」

「大丈夫?風邪?」

「う………ん…大丈夫…だよ!!!!」

 なつが私の顔とお腹を殴った。

痛い。

でも………痛くなかった。

「ぐ…な……つ……?」

「あんたのほうこそ大丈夫なの?」
「………っ……」

 うずくまる私を上から見下ろしている彼女はやっぱり別人だった。

「あんたの最愛の人、連れてきてあげようか?」

「……………」

「そう…そんなに見たいんだ」

「……………………」
 私の後ろの倉庫から……ボロボロになったナギが…投げ出され私の隣へ。

「カップルそろっていいこと♪幸せ?」

「……ハァ………ァ……」

「……っ………ぁ………」

「苦しそうね!もっと苦しめばいいわっ!」

 以前私をボロボロにした黒いスーツの人達がまたでてきて…私たちを蹴った。

殴った。

笑った。

叩いた。
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