I love you(短編集)
声にならない叫びが喉の奥で震える。
目が熱くて、熱くて。みるみるうちに視界は歪んでいった。
信号が青か赤かなんて、わからなかった。
涙で滲んだ夜の景色はただ眩しくて、くすんだ色も明るい色も全部ぐちゃぐちゃになっていって。
かじかんだ指がハンドルを掴む力を失い体がぐらついて、歩道の冷たいアスファルトに体が横になったとき、堪えきれずに声をあげて泣いた。
冬の風が頬を刺して、ふと空を見上げたとき、こちらを見下ろす月を見つけて、傍の外灯に飛びつく蛾が見えた。
渇いた叫びを生み出す喉がじわりと熱くなり、さっき切れた口の端がびりびりと痛む。
そこから、つうっと温かいものが頬をつたって、それが血だと感覚で知った私は、更に目に涙を溢れさせた。
切れた唇がじんじんと痛かった。
胸が、心臓を抉り取られたように痛んだ。
アナタがいない世界で
生きている、と思った。