満ち足りない月




パタン。

廊下から扉が閉まる音が聞こえた。

どうやらラルウィルがいつもの水やりをするらしい。


毎日毎日あの大きな庭園に水をやるなんて大変だわ……

セシル眉を潜めて思った。


「そうだ、手伝いましょう!」

今まではこちらも掃除で手がいっぱいだったけど、だいぶこっちもかたついてきた(一階だけ)し、その方があの三百歳のご老人も楽よね♪


セシルはドレッサーの鏡の前で口角を上げてにんまり笑うと早々と椅子から立ち上がった。







――…



それにしてもいつまでたっても引っかかるな……

あの人間達がラルガーと手を組んでいるなんて信じられない。


誰よりも人間を憎んでいる“あいつ”が。
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