満ち足りない月




ラルウィルは目線を水浴びをする花に向けながらも考えていた。


前から不振に思ってはいたが、実際にあの二人の人間から“エドガー”という名を聞いた時、それは確信へと変わった。



もし奴が人間と手を取り合っているのだとしたら、そして俺を今も追い続けているのだとすれば――時期に見つかる。


そうなったとしてもエルだけは巻き込んではいけない。


ラルウィルは眉をしわを寄せ、険しい顔つきになった。


「手伝いましょうか?」

ラルウィルははっとして後ろを振り返った。


そこには扉からひょこっと顔を出すエルがあった。




『手伝ったろか?』

一瞬、過去の記憶が被った。
< 131 / 255 >

この作品をシェア

pagetop