満ち足りない月
ラルウィルは目線を水浴びをする花に向けながらも考えていた。
前から不振に思ってはいたが、実際にあの二人の人間から“エドガー”という名を聞いた時、それは確信へと変わった。
もし奴が人間と手を取り合っているのだとしたら、そして俺を今も追い続けているのだとすれば――時期に見つかる。
そうなったとしてもエルだけは巻き込んではいけない。
ラルウィルは眉をしわを寄せ、険しい顔つきになった。
「手伝いましょうか?」
ラルウィルははっとして後ろを振り返った。
そこには扉からひょこっと顔を出すエルがあった。
『手伝ったろか?』
一瞬、過去の記憶が被った。