満ち足りない月
駄目駄目!
その前に私が追い出されちゃうかもしれないのに。
でも、それでも…
「ここにずっと居れたらなぁ」
セシルはまたぼーっとしながら呟くと、今度は扉の前にかけてあったモップを持って、
「さあ掃除掃除!」
と声を張った。
そして廊下を歩こうとしたその時だった。
僅かだがコンコン、という物を叩く音がした。
風?
今日はそんなに強くふいてたかしら?
セシルは疑問に思ったが気のせいだと思い、また歩き始めた。