満ち足りない月
「結構寝てたな。もう昼だぞ」
「えっ、嘘でしょう?」
まさかそんなに経ってたなんて。
鳥のさえずりが聞こえていた為、朝とばかりに思っていた。
「まあ、そういうわけで今は昼食を作ってるから、ちょっと待っていてくれないか」
トントントン、と一定の包丁の音が聞こえてきた。
「ええ、でもいいの?私、只でさえ泊まらせてもらってるのに」
「客人なんて久しぶりだからな。まあとにかく昨日の食事室に居てくれ。持って行くから」
「あ、有り難う」
何でこんなに優しいのかしら。本当にもらっちゃっていいのかな…。
少々遠慮がちになったが、セシルは食事室へと向かった。