満ち足りない月
「どうぞ」
数分後にはそう言ってラルウィルは食事を持ってきた。
「頂きます」
礼をして、セシルはゆっくりと遅い朝食とも昼食とも言える食事をとった。
やはりこの料理も美味しく、セシルは手を止める事なく、食事を終えた。
「で、いつぐらいにここを出る?」
切り出された言葉に何だか心臓を切りつけられたかのよう痛みが走った。
言われるのは当然の事なのに。
早く帰らないと。
その言葉はセシルを急かすように聞こえた為、セシルはなるべく早くここを出ようと思った。
「これから荷物をまとめるわ」
「そうか…」
ラルウィルはそう自分に聞かせるように呟くと、「なるべく早くここを出た方がいい」と続けた。
「ええ」
少し声が掠れた。