ノワール・ナイト
「早く出てこい、王子!!
さもなくば、城を壊す!!」
「それは、困りますよ…ロザエフ王。
最も…貴下にそれが、できるならば…の話ですが。」
やっと見えたギルは、いつになく冷酷な目をしていた。
瞳の色は、いつも私に見せる緋ではなく蒼だった。
「ご用件を、どうぞ。」
私の大好きな低い声も冷めきっていた。
怖い…ギル、こんな顔もするなんて…。
「決まってる!!
姫を、メヴェレイラ嬢を連れ戻しに来た!」
「家名で申されても解りません…名でお願いします。」
こちらに気付き、ニヤリと意地悪く笑ったギル。
私はギルの元に向かった。