ノワール・ナイト
「──…アルル?
アル…いや、アレン…?
ちがうか…ア…」
「アルディスですわ、殿下?」
私はギルの横に来てニッコリ笑った。
「ロザエフ王…申し訳ございません。
わたくし、ヴァンパイアに捕まった身。
もはや、帰る資格もありませんし、望んでもおりません。
どうか…お引き取り下さいませ…。」
私が一礼すると、怒りを表にしたロザエフ王は叫んだ。
「アルディス、お前を奪いに再び参る。
花嫁衣装を用意して待っていろ!」
どこまでも私を所有物扱いするのにムッとした私。
それに気づいたギルは優しく笑い私を腕に納めた。
そして、再び冷酷な顔つきでロザエフ王を見た。
「夫となるのは、この私。
純潔も頂いたことだし…な?」
いやらしい笑いで私を見るギル。
呆れる私。
顔を赤くするウェールズさん。
怒りが頂点に達し、力を集めるロザエフ王。
「死ね、ギルバート!!」
「…去れ。」
王が術を出す寸前、ギルは王を消した。
「…!?」
「大丈夫…帰しただけ…だ。」
王の集めた力ごと移転させたのが疲れたのか、私にもたれて気を失ったギル…。