ノワール・ナイト
毎日、毎日…
嫌気がさすほどに暗いこの城には、叫び声と血の滴る音、香りが絶えない。
笑い声と言っても、黒いものに侵食されたような物ばかり。
うんざりする。
こんな環境に僕を置く、王子という立場を呪いたい。
さあ、今日も僕の前に贄が現れる時間が来た。
「ギルバート王子。
本日の贄は、珍しいものですぞ!!」
若い、王子付きの家臣ウェールズが、謁見の間の玉座に座る僕に告げた。
「ウェールズ…何なのだ?」
気だるそうに聞く僕にウェールズは興奮気味に言う。
「魔女です、王子。」
「──…魔女、だと?」
人間よりも美味しいと言われる魔女の血。
捕まる事がなかったから、その味は定かではないが…。