ノワール・ナイト
部屋につくと、僕は魔女を優しくベッドに置いた。
両手を縛られ自由を奪われた魔女は、何もできず、横たわった状態のまま僕を睨む。
「もう一度、聞く。
名は何だ?」
魔女はプイッと顔を背けた。
今までされた事のない反抗は、僕を不思議な気持ちにさせた。
魔女は顔をこちらに再び向き、より激しく睨み付けてきた。
「早く、血を吸って殺したらどうかしら?
私、もう死ぬ覚悟はできている。」
その気高く、でも可愛らしい声は少し震えていた。
僕は魔女の横に倒れこみ、首筋に顔を近づけ、ペロッと舐めた。
ビクついた魔女の耳を甘噛みし、囁く。
「君を殺す気など、無い。」