ノワール・ナイト

すると、魔女は反らしていた顔をこちらに向けた。


その目に涙を浮かべて。


「何でよ…!?
殺しなさい、殺してよ!!
捕まったこの身では…もう、二度と帰れない…。」


溢れる涙を拭って魔女に言う。


「帰す気もない。
君は一生、僕の隣に居るんだ。」


いつも、城の女や貴族のご令嬢の夢中になるこの顔も声も…なにもかも。

この魔女の前では何の意味も持たない。


「貴方の隣に一生居るくらいなら、ここで命を絶つ方がマシだわ!」


舌を噛もうとした魔女の唇を乱暴に奪う。

舌の絡まる音がいやらしく部屋に響く。


「っ…やぁ…ゃめ、…」


キスでこんなにも悦楽に浸ったことはない。


唇を離すと、お互い息が荒くなっていた。


「絶対に…放して…やらない。」



僕は初めて、女に

“執着”

した。

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