クシャおじさんのサイン本
そう言ってクシャおじさんは、サイン本を再び俺に持たせた。

改めて表紙タイトルを見ると、
『ビックリ人間大集合』
という、出版社がつくった企画本だった。

「141ページ」

クシャおじさんは得意げに、俺に言った。

おそらく141ページに、クシャおじさんの記事が載っているのだろう。

面倒半分、興味半分で、141ページを開いた。

そこには、賢そうな8歳の暗算少女が載っていた。
クシャおじさんにも見せた。

「う、うそやん…」

クシャおじさんは、俺から乱暴に本を奪い取り、1ページから改めて見直した。

「ワシ、ないやん」

< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop