O.S.C
「何もなければ、平穏・無事に過ごせるさ。そうなるよう、正月参りで祈って来い」

手をヒラヒラ振りながら、私はその場を去った。

そろそろ電車の時間だった。

電車に乗り込むと、これまた知った顔を見つけた。

「カルマ。久し振りだな」

「マカ! 珍しいですね、こんな所で会うなんて」

二つ年下で、高校1年生のカルマだ。

今時の男子高校生とは思えないぐらい、物腰が柔らかい。

「ちょっと私用でな。お前は?」

私はカルマの向かいの席に座った。

「ボクはこれから父さんと買い物と食事です。午後から仕事が休みになったそうなので」

「お前んとこの父親は、相変わらず親バカだな」

「返す言葉がありません」

そう言って苦笑するも、カルマは分かっている。

父親が自分を溺愛する理由を。
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