O.S.C
山道を少し歩くと、小さな町工場が見えた。

「んっ…?」

しかし何か違和感を感じる。

思わずジッと見ていると、工場の中から数人の作業員が出てきた。

おそらく休憩時間になったんだろう。

タバコを吸う場所に集まり、険しい表情になっている。

「もうこの工場、怖くてたまんねーよ」

「ああ、例の首…また出たんだろう?」

「あの注意報聞くたびに、背筋が凍るよ」

…どうやら怪談めいた話があるようだ。

確かにこの工場、黒いモヤが溢れている。

というより、凝り固まっている。

ここで不幸な死に方をした者がいるんだろう。

「だがこの土地は…」
< 5 / 60 >

この作品をシェア

pagetop