O.S.C
「まあ職業柄な。それより消えた時のことを聞きたいんだが」

「ああ、そうでしたね」

青年は深く息を吐き、湖を見つめた。

「一人目は霊能力がある16歳の少年でした。我が村では青年団という存在がありまして、夜には巡回に出ていました。彼もまた、青年団に入っていたのですが…」

そこまで言って、顔を上げ、沈みゆく太陽を見つめた。

「あの晩は月が出ていませんでした。真っ暗闇の中をランプを持ちながら巡回していました。巡回と言っても、村の外側を一回りするだけだったんです。なのに…」

ぎゅっと唇を噛み締めた。

「少年はランプの火が一瞬消えた隙に、消えてしまいました」

「消えた? …正確には?」

「言葉通りです。残念ながら…」

そう言って首を横に振る。

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