O.S.C
自己防衛の為か、未来予知者は自分の未来を視ることはできない者が多い。

彼女もまた、そういうタイプだったのだろう。

「2人とも、まるで闇に飲み込まれたようでした。音も気配も無く、いなくなってしまいましたから…」

ソウマの報告では『影』と言っていたが…。

まっ、この場合、同じ意味だろうな。

『影』も『闇』の一部だから。

「その後、いくら捜しても二人は見つからず、諦め始めています」

「そうか。状況は良く分かった」

私は青年に肩を竦めて見せた。

「ちなみにその前に、村に何か起こらなかった?」

「…いえ、特には…。あっ、でも…」

青年は何かを思い出したように、眉をしかめた。

「数日前から、この湖で若い青年をよく見かけるという報告が入っています。この二日間はありませんが…」
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