O.S.C
「若い青年? …どういうカンジのだ?」

「顔は分からなかったらしいです。何でも黒いズボンと黒いコートを着ていて、その上フードをかぶって顔を隠していたらしいですから」

黒尽くめの服装に、顔を隠す仕種…。

そして『闇』を使う者。

―間違いない。マノンだ。

アイツがここで動いたんだろう。

「そうですね…。彼なら、暗い闇の中でも自由に動けるでしょう」

青年の言葉に驚いて、顔を上げた。

すると青年は苦笑した。

「まっ、今では全てが遅いことだと思います」

「…そうだな」

足元のウサギが、じっと私を見上げていた。

「ん? どうした? もうニンジンはないぞ?」

< 54 / 60 >

この作品をシェア

pagetop