あなたを想う。


「彩乃〜」

「李奈〜ちょっと
携帯忘れるし
あたし置いて行くし
どうしたのー!?」


彩乃の心配そうな顔…

ううん。
ちょっと初めてな
胸のドキドキに戸惑ってただけ―


「ごめん、ごめん。
なんかあの場所に
いれなかっただけ…
なんかドキドキしてさ」

彩乃には何故か正直になれるー

彩乃がニヤニヤ笑って口にする。

「なんか翼君
李奈がいなくなって
びっくりしてたよ!
なんかまぢ可愛いって、
李奈ちゃんに真面目に
一目惚れしたって
ちょっと恥ずかしそうに
言ってた☆(笑)」


え?あたしに
真面目に一目惚れ?

あの翼君が?


だって…

だってさ、
みんなに

人気があるあの翼君が

あたしに…?


どうしてあたしなんかに
一目惚れ?


あたしはそれを聞いて

素直に嬉しいと思った


胸のドキドキが
さらにドキドキするー


*一目惚れ*

たった四文字の言葉なのに

嬉しくて

あったかくて

幸せな気持ちになった―――


あたしこの時気付いて
しまったんだ


中学1年生のあの春

初めて翼君を見た時から

今日初めて声をかけられた

この日まで

翼君に恋をしていたことに―。


< 19 / 79 >

この作品をシェア

pagetop