あなたを想う。
「彩乃〜」
「李奈〜ちょっと
携帯忘れるし
あたし置いて行くし
どうしたのー!?」
彩乃の心配そうな顔…
ううん。
ちょっと初めてな
胸のドキドキに戸惑ってただけ―
「ごめん、ごめん。
なんかあの場所に
いれなかっただけ…
なんかドキドキしてさ」
彩乃には何故か正直になれるー
彩乃がニヤニヤ笑って口にする。
「なんか翼君
李奈がいなくなって
びっくりしてたよ!
なんかまぢ可愛いって、
李奈ちゃんに真面目に
一目惚れしたって
ちょっと恥ずかしそうに
言ってた☆(笑)」
え?あたしに
真面目に一目惚れ?
あの翼君が?
だって…
だってさ、
みんなに
人気があるあの翼君が
あたしに…?
どうしてあたしなんかに
一目惚れ?
あたしはそれを聞いて
素直に嬉しいと思った
胸のドキドキが
さらにドキドキするー
*一目惚れ*
たった四文字の言葉なのに
嬉しくて
あったかくて
幸せな気持ちになった―――
あたしこの時気付いて
しまったんだ
中学1年生のあの春
初めて翼君を見た時から
今日初めて声をかけられた
この日まで
翼君に恋をしていたことに―。