fight*girl
突然声を掛けられ、顔を上げると先ほどの男が手すりの上に座っていた。
「………ぎゃ――――!!!!」
近所中に聞こえるくらい叫んで洗濯物を思わず落とす。
「ないないない!!!」
急いで部屋に戻って窓と鍵とカーテンを閉めて座り込む。
心臓がバクバクと動いていて、必死に胸を押さえた。
今、ベランダに座ってたやんな?!
ここ11階やのに?!
宇宙人じゃなくて幽霊って事?!
「おい」
再び声を掛けられ顔を上げる。
目の前には男が立っていて、
「ひっ…!!!」
座ったまま後ずさりするけれど背中は窓なので逃げられない。
「逃げんな」
「やっ…!!!」
腕を掴まれ身をよじる。
ボロボロと涙が流れて、頭の中に走馬灯が走った。
…死にたくない
「あの…ごめんなさい」
「あ?」
「殺さんといて…まだ生きたいんです」
「何言ってんねん」
「お父さんとお母さんとお兄ちゃんとお姉ちゃんもいるんです…」
「だから、」
「後猫のちびも…」
「殺さんっちゅーねん!!!」
「…へ?」
目の前の男は呆れた顔で私を見下す。
そして掴んでいた腕を離して、ドカッとベッドの上に座り込んだ。
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