fight*girl




「じゃあ俺は退散するね」


「ちょ…!!!」


「次に会うのは天界から帰ってからかな」


「綺羅っ!!!」





手を伸ばすも、綺羅は一瞬で消えてしまった。




「あーもう!!!」




綺羅が私の知り合いをキメラにするのは計算だった。


それは私を闇に落とす為に。


そして闇に落とせば私は夜叉になる事を知っていた。


同じように綺羅に会えば会うほど制御が出来なくなる。



…その原因を神が知っている?






「じゃなくて優羽!!!」




つい綺羅の意味深な言葉に夢中になっていた。


急いで優羽のもとへ走り出し、隣へ座り込む。




「優羽っ!!!大丈夫?!」




何度も体を揺らし名を呼ぶ。





「大丈夫…に見えるか?」


「見えないです…」





苦しそうに目を開けて、上半身を起こす。


傷は殆ど閉じていて、血は止まっていた。


天使って傷治るの早いんや…。





「よかっ…た…」




安心したからか、急に涙が溢れ出す。


それを何度も拭うが涙は次々と流れてくる。





「…本間お前はよく泣くな」


「ひっ…く…うわあああん!!!」





優しく抱き締められ、私も必死に抱き締め返す。




…私は優羽を傷つけた。


それなのに優羽は私を私に戻してくれた。


諦めずに叫んでくれた。





「ごめっ…なさい!!!」





痛かったよね。


苦しかったよね。


バカな私でごめんなさい。


自分を見失ってごめんなさい。







「お前が戻ってきたから、それでいい」


「でもっ…!!!」


「泣くなって」






更に強く抱き締められ、私の顔は優羽の胸に埋まる。



泣くな、と言われたのに私は更に泣き続けた。









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