fight*girl
その表情はとても安心したような柔らかい笑顔で、
何故か心が締め付けられた。
「ゆっ…」
名前を呼ぼうとしたけれど、それは叶わなかった。
強く、痛いくらいに抱き締められたから。
「…今はキツいと思うけど、大丈夫やから」
「優羽…?」
「お前が魔神でもなんでも関係ない」
「…………」
「頼むから側にいて、離れるなんて思わんといて」
縋るような優羽の言葉は弱々しい。
まるで何処にも行かせないように更に強く抱き締められる。
「…それはうちの台詞やもん」
離れたくない、何処へも行かないで。
私が言いたかった台詞。
わかってる、それは卑怯だって。
でも私だって優羽の側にいたい。
過去は過去でも、一緒にいたいの…。
優羽を好きになってしまっているから。
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