fight*girl
…優羽の足の速さが半端じゃない。
でもそれに着いていけてる私も半端じゃないのだろう。
現にこんな格好で街中を走っているのに誰一人私達に気づかない。
「見えて…ない?」
「人間の目やったら見えへんわな」
「そ、そうなんや」
なんだか不思議な気分。
私も昨日まであんな感じやったのに。
――…どくんっ!!!
キメラに近づく度に心臓が鼓動する。
嫌な緊張感に汗が出た。
「嫌や…」
「あ?」
「…怖い」
恐怖感が噴き出す。
もうすぐそこ、と分かる度に帰りたい気持ちが溢れ出してくる。
「………もう遅い」
「え?」
「そこのビル越えたら、始まりや」
軽く笑う優羽はそうやって前を向いたまま
「剣を抜け」
冷静に、そう告げた。
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