fight*girl
「こんなとこにいた」
バサ、と誰かが降り立つのがわかる。
でも私は涙を流したまま動かなかった。
動きたくないから。
「愛莉?戻ろ?」
「やだ…」
「ほーら、愛莉ってば」
「愛莉ちゃうし…」
「わかったわかった、あい」
無理矢理体を起こされて、綺羅の腕の中に沈まる。
逃げたいのに、もうそんな力は残っていない。
…私を犯したくせに。
「大丈夫、その内魔界にも慣れるって」
「慣れたくない、」
「だから天使の事は忘れなきゃ、ね?」
だから、って…。
けど本当は私だって気付いてた。
…優羽を忘れなきゃいけない。
忘れて、ここで生きていく。
でもそれって、簡単な事じゃない。
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