Another☆Story
夕方の、公園……?
赤い空の下。
ブランコの前で、誰かがあたしに何かを言っていた。
頷くと、その子は嬉しそうに笑ってた。
あれが、真……?
「……ブランコ…?」
「……違うよ。ベンチの前だった」
真は寂しそうに呟いた。
「だから、奈央子の頭じゃ、何にも思い出せないって」
「ちょっと。バカにしないでって言ってるでしょ!」
そのとき、ヴーと真のケータイが鳴った。
真はディスプレイに表示された名前を見て、顔をしかめると、電話に出た。
「はい。今から行きますから」
それだけ言って、電話を切る。
「…ごめん、奈央子。帰らないと」
「そ、そう?お茶も出さなくてごめんね」
「いいや。久しぶりに奈央子の顔が見れてよかったよ」
真はそう言って、あたしの額にキスしようとすると、とっさに由宇が間に入ってそれを阻止した。