アイスバーグに託す曖昧
ユリは舌を出した彼女に驚いたのか、
俯き加減でグラスのカクテルを飲んだ。

「ルカ面白いね、最高なんだけど」

平がそう言った理由は、きっと、俺と同じなのだと思った。
4年前、隕石が衝突したかのような、あの出会いの衝撃。


俺の価値観をひっくり返したあの女、

俺の救世主、アキ。

だから俺はこのとき、ルカに対して必要以上の警戒をしてしまった。

まだコートは手放せない3月の上旬、
こんな風にして、俺は彼女と、出会ってしまった。
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