アイスバーグに託す曖昧
するとルカは表情を変えずに、

「千秋ハルキ」と俺の氏名を音読し、

「なんだ苗字か」と続けた。

「そう、俺クラスになると、名前が韻を踏んじゃうわけ」

自分でそう言ってから、酔っていることを自覚した。

平が、

「さすが千秋先生、てか俺も連絡先教えるよ」

と言って携帯をルカに差し出すと、

「名刺、ないの?」と彼女が言った。

人のプライバシーに関わる事項への質問を躊躇いなく、次々とする。

「俺ね、一回休んじゃったの、だから今年から社会人」

そう言って平は大学を1年ダブっていることを白状し、
ルカと赤外線で連絡先を交換していた。

会計をクレジットで支払い、領収書をもらって店を出た。
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