アイスバーグに託す曖昧
「やばいな」

平の呟きにわざとらしく、

「何が」と答えて歩き出した。

賑やかなのは大学生ばかりで、駅前のロータリーには、
十数人の男女が入り乱れて円陣を組み、
とりとめの無い会話や、奇声を発していた。

そこには俺たちが失いかけた無限の未来に広がる熱い夢、
と言ったような【無責任】の風が、漂っていて、その横を通り過ぎる時、
平と目が合うと、彼はポケットに両手を入れながら、
苦虫を噛み潰したように笑い、

「いや、似てるな、と思って」

と言った。

「だから?」

「俺は好きだ、お前もだろ?」

聞こえないフリをした。
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