アイスバーグに託す曖昧
「千秋(ちあき)センパイ、このお肉もう大丈夫だと思うよ」

そう言って石焼にされた地鶏をトングで掴み、左手を添えて、
彼女は俺の取り皿にそれを置く。

「てかユリの友達、遅くない?」

俺の横にいた平(たいら)が、そう言ってジョッキのビールを飲んだ。

「今日はコンパじゃなんだから、あんまり飲みすぎるなよ」

猫舌の俺は置かれた肉を箸で少し転がしながら、そう言った。
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