アイスバーグに託す曖昧
それでも知り合って2年になるユリが、
ここまで心を許して同性と接している姿を俺は初めて見た。

そのことには平も同感な様子で、
俺と目を合わせると、困ったように笑っていた。

テーブルサービス心の旺盛なユリと相反してルカは、
石の上に並べられた焦げそうな肉を取り分ける事はせず、
自分のビールが運ばれてくるとユリの帰りを待たずに乾杯を誘った。

「五臓六腑に染渡るね」とお決まりの文句を発し、

「おやじか」と平が突っ込んで、
その場はもはや初対面が集う雰囲気ではなかった。
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