アイスバーグに託す曖昧
ユリが戻ってきて肉を取り分ける姿をルカは、
ビールを喉を鳴らすようにして飲みながら見つめ、
ついには到着後3分以内のそのジョッキをあっという間に空にした。

そしてすぐに肉を口に運ばない俺を見て、

「もしかして猫舌?」

と話題の中心に君臨する彼女の興味は、すぐに肉に戻り、

「あ、でもそれ焦げすぎだからやめたほうがいいよ」

と言って素手でそれを掴み、自らのおしぼりを二つ折りにして仕舞う。

俺は箸を置いて、小さく笑った。
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