この愛をきみに
「どっちから告ったんやっけ??」
三年が数名いる中、
泰司が大声で言い放った。
その言葉で俺に視線が集中する。
「颯真って彼女いんのかよ!?」
「可愛い!?可愛い!?」
恋愛の話になると勢いよく食いついてくる。
俺はうつむいた。
先輩に言うつもりなんて、
さらさらないからだ。
そんな俺の心を察することのできない
泰司が、笑いながら話しかけた。
「颯真からちゃうよなあ??」
俺は顔を上げた。
全員が目を輝かせ注目している。
…言わざるをえないのか??
でもそれだけは絶対に避けたい!
俺は鞄を掴み、更衣室を飛び出した。