女子DEATHヒーロー
 今はそんなシリアスになるときじゃないか!

「た、拓兄!」
「鈴木先生だろ?」

 拓兄がニヤリと妖しく笑った。なんていうか……艶がありました。

「絢灯、おまえに男ってものを教えてやるよ」
「は?」

 なんかヤバい感じの空気。

 あれ?

 なんかおかしくない?


 唇に違和感。


 なんか、当たってる?

 拓兄と目が合った。近すぎる。
 ちょっと、ちょっと!

 あれー?

 キ、キス!?

 拓兄を離そうと、押すけど動かない。まぁ、拓兄に喧嘩で勝ったことないしから当たり前だけど!
 頭をそらせても拓兄はついてくる。
 あたしの体勢が辛くなるだけ。

 ついでに、呼吸も苦しい。

 死ぬんですけど!

 さっき、葉月センパイからあたしのファーストキスを奪われなかったから安心したのに……とんだ伏兵!

 色々考えながらも抵抗を続けたけど、全然無理。

 拓兄……あたし、義理とは言え妹なんですけど!


 心に癒えるか癒えないか分からない傷を負った。


 鈴木絢灯、15歳。義兄に初接吻を奪われました。

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