女子DEATHヒーロー

 あたしが委員長を迎えに行こうとすると、拓兄に捕まった。

「あー……宣戦布告」

「違う!た……鈴木先生!」

 拓兄に公開ツッコミを入れると、拓兄はあながち間違ってない。とあたしに口パクで言った。

 まぁ……そうかも。

「風紀委員が勢力を誇って五年、見事に風紀委員は力を無くした。だが、これからは違う」

 拓兄がそう言うと、あたしと央太、佐々木の方を向いた。

「こいつらが風紀委員になることで、今の二大勢力をかき乱してやる」

 ニヤリと笑う拓兄。昔の拓兄現役時代を思い出す。意地悪そうな笑いをよくしてたもん。

 ……結局宣戦布告じゃん!

 ざわつく体育館。なんか、あたしに対する視線が痛い。


「……あの子大人しそうなのに」
「あの男の子二人は良いけど……女の子大丈夫なの?」

 央太と佐々木は確かに不良グループと張り合えそうだよね。見た目。

 あたしは……まだウィッグ被ってた。

「あーやひちゃん」
「なに?」
「頭外そうか」


 頭は外せません。


 ウィッグか……外すのも勇気いるよね……。とか考えてるうちに、佐々木にウィッグをとられた。


 手が早い男だ、全く。


「我等が死神の鈴木絢灯ちゃんでーす」

 死神って言っても一般人には分からないし。あたしを知ってか知らずかざわめく体育館内。
 まぁ、暗そうな女が実際は金髪なんて……驚くのは当たり前か!

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