女子DEATHヒーロー
それより、委員長居ないと意味ないんじゃないかと思う。
あたしは壇上から飛び降りると、ざわめく中を委員長のいる所に向かって歩いた。
「滝彦委員長!」
あたしが呼ぶと、シンっとなる体育館の中。
あ。
余計に委員長が出て来にくくなったんじゃ……。って心配をしたけど、必要なかったみたい。
委員長はちょっとおどおどしながらあたしの前に出てきた。
委員長……根性あるじゃん。
「委員長、前行こ」
「……僕より鈴木ちゃんが委員長になったほうが」
委員長が苦笑しながら言った。
委員長はこんなのを望んでなかったのかもしれない。不良組と生徒会に張り合う力なんて望んでなくて、ちょっとリンチされるぐらいならその方がいいと思ってる……。
そんな目をしていた。
……確かに、今まで以上に委員長は危険な状態に置かれる。風紀委員が新たな勢力としてみんなに認められるまでは……。
でも、風紀委員長をあたしは出来ない。あたしには向いてないから。
あたしには勤まらない。
「委員長は委員長じゃないとダメです。あたしたちみたいに素行の悪そうなのが風紀委員長じゃ示しがつかないから」
あたしたちみたいに力でしか強さを見せられないのは風紀委員には向いてない。
滝彦委員長みたいに真面目な人がなるものだ。
「あたしたちには分からないことばっかりいるから……委員長」
まだ入学してきたばっかりだから分からないことばっかり。委員長は信用できる。
「鈴木ちゃん……分かった。先輩としてやりとげるよ」
委員長……いい人すぎる。
「絶対にあたしたちが委員長を守るから」
「ありがとう」
何だかそう言った委員長が可愛く見えた。