女子DEATHヒーロー
 スキンヘッド理事長と三人で並ぶとなんとも怪しい。妖しい。
 開いた口が塞がらないを身をもって体感してる、あたし。

 緑黒とベージュがあたしを見た。緑黒はサングラスをはずして。
 あたしはもちろん、全力で目をそらした。後が恐いけどそんなのは気にしてられない。

 あの2人は……あたしの平穏な日々を妨害する人たちなんだから!

 ベージュは鈴木燿都(あきと)。あたしの血が繋がった兄で、緑黒のサングラス男は鈴木拓登(たくと)。血の繋がらない兄だ。

 2人とも無駄に顔がいいから性格がどうだろうと……モテる。もうね、学生の頃は女をとっかえひっかえしてたサイテー男だ。今は一緒に住んでないし、あんまり会わないから分からないけど。

 特に拓兄。耀兄はあたしに被害が無いからまだいい。

 あたしが何回拓兄の濡れ場に遭遇したことか……!あたしのピュアな瞳と心が汚れちゃう。
 いつだったか家のソファーで寝てて起きた時に向かいのソファーでヤってた時はビックリした。
 勿論、冷静に退室した。そりゃもう冷静にね。「あ、失礼しました」って言う感じで。
 ビックリ通り越して冷静になったんだと思う。

 あたしはあの日以来リビングで寝ないようにした。
 部屋に女を連れ込んでも、あたしの部屋と拓兄の部屋は離れてるから大丈夫。あたしの癒し空間はあたしの部屋か、可愛い妹の部屋。

 あたしには妹がいる。もー本当に可愛い。あたしと違って兄たちのスパルタ教育を受けてないから、普通の可愛い女の子。

 あたしはこの妹の目を保護するために、よく奮闘してた。リビングに居ないことをあたしが確認してからリビングに妹を通したり。

 こんなことが結構あったんだけど……でも大丈夫。あたしは純真無垢な少女だから。

 チラッと壇上を見ると、拓兄と目があってあたしを鼻で笑った。
 どういう笑いですか、拓兄。

 2人がここに来るって分かってたら……あたしは来なかったのに!
 ん?もしかして……親は2人が働くから安心して通わせたのかも。でも、何で言ってくれなかったんだろ?
 あたしが何が何でも拒否するのを分かってたからかもね……。

 あたしは意外と家一番の頑固者だから。
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