女子DEATHヒーロー
 気付くと、壇上には誰も居なかった。どうやら話は終わったらしい。
 全然聞いてなかった……。まぁいっか。ただの自己紹介だろうし。新任っていうのは聞こえた。

 あたしが一息つくと、ポケットのケータイが震えた。

 あ、イヤな予感。

 バレないようにこっそりケータイを開くと、拓兄からのメール。

『今すぐ体育館裏に来い』

 ……いじめですか、お兄ちゃん。呼び出しの定番ってどういうこと?
 っていうか、呼び出すにしてもなんで体育館裏?まだ式やってるじゃん。

 っていうか、教師が式の途中で抜け出せなんて言ったらダメじゃん!

 ま、抜け出しますけどね(泣)
 コワいもん。早く行かないとコワいし!一分一秒も惜しい……。
「央太、あたし行くわ」

 央太にこっそり耳打ちすると、あたしはいかにも体調が悪いですよ〜な雰囲気を出して口を押さえながらその場を離れた。

 ウィッグで顔隠れてるから、本当に体調が悪そうに見えるらしい。心配して声をかけてくれる人までいた。


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