女子DEATHヒーロー
体育館裏
あたしは体育館裏に来た。
あたしの前にはヤンキー座りをして煙草をふかしてる男と、なんかよくわかんないけど木にぶら下がってる男がいた。
あ、煙草が拓登でぶら下がってるのが燿都ね。
煙草はいいけど(この吸い方は良くないけど)、何で木にぶら下がってるのかが分かんない。
何ででしょう?って問題に出されても制限時間以内に答えられる自信ない。制限時間無くても無理。
あ、そう言えば……最近ター○ンにハマってるって言ってたからそれか!ジャングルが俺の庭さ!みたいな人になりたいのね。
ちなみに、あたしはそんな二人を前に土下座してる。額を地に擦り付ける勢いで。
訂正。おでこ……痛いです。
「本当にお願い!あたしは平穏な人生を送りたいの!普通の女の子になりたいの!」
もう傍若無人な兄たちに振り回されるのはイヤだ。喧嘩ばかりの毎日なんてイヤ。
あたしだって思春期の女の子なんだから、おしゃれだってしたいし同年代の女の子と楽しくお喋りしたい。ガールズトークがしたいの!彼氏だって……ん?それは別にいらないかも。
ダメよ、あたし!彼氏欲しいでしょ?普通の女の子はそうなんだから!
多分!
「……今更?」
燿兄の笑いながらの的確なツッコミにちょっと腹が立つ。今更だなんて分かってる!
燿兄に言われると嫌だ。こんな理解不能な行動する人に……。
ちなみに、燿兄は木に登ってる。
「あーやひ♪」
あああ……心の中読まれてる!?
燿兄はあたしに近付いてしゃがむと、ウィッグを取った。顔を上げたら、眼鏡も取られた。
されるがままのあたし。
反抗なんて出来ません。
「僕たちの前ではそれって言っただろ?」
燿兄は眩しいくらいの笑顔で言った。
……王子様だ。顔は王子様だ。顔だけは。
燿兄はあたしの金の髪を摘むと、引っ張った。
地味に痛いから!