女子DEATHヒーロー
 あたしが激しく意味が分からないという表情で拓兄を見ると、拓兄は少しあたしから離れた。

 なにかブツブツ呟いてる。聞き取りづらい。
「妹か……血繋がってないし有りか」

 聞こえちゃった。

 ……無し無し無し無し無し無し!
 何物騒なこと言ってるの!?有りか?無しです!
 流れ的に何考えてるか分かるよ、拓兄!

 それより……拓兄、あんたこういうキャラだっけ!?
 なんかヤバい気がする。

 燿兄助けて!

「あ、燿兄!」

 呼んだけど返事はない。ついでに姿もない。影も形もございませーん……って耀兄ー!

「珍しく空気読んだな」
 こんなとこで空気読まないで燿兄!というか、あたしにとったら空気読めてないから!

「絢灯、覚悟しとけ」
 ネクタイをさらに緩めるの止めて下さい、お兄様。そしてあたしのネクタイに手をかけるのも止めてー!

 あたしと拓兄の距離が更に縮まった。

 あれ、これはあれじゃない?妖しい世界に行くと見せかけてネクタイを掴んで首を絞めるとかじゃない?
 あたしに窒息ギリギリを体験させるみたいな?

 どっちもイヤだ!

 拓兄のことだから冗談……じゃないかー。目が妖しく輝いてるもんねー。
 肉食獣が獲物を捕らえたときの目だ……。

 誰でもいいからヘルプミー!
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