女子DEATHヒーロー
 ……生徒会長か。

「拓兄、あの人名前何?」
「あー……たしか牧原大雅だったな」
 ふーん……関わりたくないナンバー1ね。あ、来るときに見たオレンジ頭も、関わりたくない人ナンバー1、2に入る。

「あ!早く教室行かなきゃ!」
 もう入学式は終わったはずだから……初っぱなから遅刻はイヤだ。
 急いでネクタイを締めると、ウィッグを探した。眼鏡は近くに落ちてたけど、ウィッグがない。

「どこー!?」
「絢、あの上だろ」

 拓兄が指したのは木の上。つまり……あそこに燿兄が居て持ってるってことね。

「燿兄!」
 木に向かって大声で叫ぶと、何かが飛び出してあたしの前で着地した。
 燿兄は素早いすばしっこい。
「ほい、かつら」
 燿兄はあたしにかぶせると、しっかり整えてくれた。

「絢灯、俺達の妹って知られたくないってことは助けはないと思え」
 拓兄の言葉にあたしは頷いた。
 鈴木兄弟の妹なら多少は優遇される。何かあっても助けてくれると思う。

 まぁ、プラスがあればマイナスがあるわけで……。
 あたしも一応有名だから色々問題ありそうだよねー。

 願ったり叶ったりだよ!

「わ、分かってる」
「なんかにやけを我慢した顔が腹立つなぁ」
 燿兄があたしのほっぺたを引っ張った。バ、バレてる!

「ま、楽しみにしとくさ。鈴木」
「そうですか、鈴木センセ」

 対抗してやる!
 って、燿兄も鈴木だし。

「ねぇ、何の先生するの?」
 そういうの聞いて無かったかも。出来れば関わりたくないなぁ……選択科目だったらいいのに。
「僕は保健室」
「え、燿兄そうなの!?」
 傷をグリグリする保険医なんて嫌だ……絶対怪我なんてしない。
「拓兄は?」
 拓兄は……理科とか?生物で解剖とか超楽しんでやってそう。
 実は細々したこと好きだから。
 家庭科だったりして。
「俺は秘密だ」
「えー……ケチー」
「早く行かないと遅れるよ?」
 気になるけど遅れるのはイヤだ。あたしは二人を見てから走った。

 超マッハで。
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