女子DEATHヒーロー
 中学3年生の秋の放課後、あたしは進路指導室に居た。

 早く帰って勉強がしたい。

 ……あたしったら普通の子じゃん!昔だったら……兄に連れ回されてた。喧嘩を探しに。
 それに比べたら指導室指導室なんてまだマシか。

 進路指導室にはあたしと、同じクラスの佐伯央太と担任の3人。
 でも、はっきり言って……何で?
「センセー、あたし進路決めてるし、センセーだって大丈夫って言ったじゃないですか」

 あたしはそこそこ勉強出来る。内申は……学校ではそこそこ真面目に授業受けてたから別に悪くはない。
 家族が義務教育中はまじめに学校行けっていうから。

 もちろん、補導なんてされてないから!警察来る前に逃げたし、バレちゃうなんて失態はおこさない。
 一回あぶなかったけど、兄に助けられた。もーあたし終わったって思った!片方のちょっと変な兄が猫の抜け道を教えてくれなかったら危なかった。その時は兄が変人でよかったって思いました。その時だけは。

 あたしが意識をとばしていると、センセーが咳払いをした。
「鈴木、お前……晴天丸学園に行かないか?」

 ホワイ?なぜ?
 ちなみにあたしの名前は鈴木絢灯(すずきあやひ)。もちろん女。
「あの……あたし、女ですけど?スカートはいてるし、男にあるものもないんですけど?」
 晴天丸学園はエスカレーター式の男子校ではなかったか?あたしの記憶違い?
 それか……
「あたしに男になれと?」

 あたしが真剣な顔で言うと、センセーはガタッとイスからずり落ちた。
 隣の央太は「え?何このおバカさん」って顔で見ている。
 ……あんたには言われたくない。バカなのはあんただから。

「最初に言っておくが……晴天丸の高等部だけは共学だ。圧倒的に男子が多いが」
 へー初耳。あたしが興味ないからかもしれないけど。

「それで……何であたし?」
 センセーは央太を見てからあたしの方を向いた。
「佐伯が推薦であそこを受けるんだが……」
「あーあそこ学力の差激しいからバカでも入れますもんね」
 央太があたしを睨んだけど気にしない。本当のことだもんねー。
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