女子DEATHヒーロー

教室

 あたしたちは案外あっさりと教室に着いた。教室内が騒がしい……。ってことは、先生来てない?ラッキー!
 あたしと那奈は教室に入ると、それぞれ分かれて座った。
 那奈はさっきの可愛い子ね。

 席に着くと、前の席に見知った後ろ姿があることに気付いた。……これも一緒のクラスなんだ……。
 あたしは机にあった入学なんちゃらって書いてあるプリントをわざと落とすと、拾うついでに央太の耳元に顔を近付けた。
 さり気なく。

「後で覚えておきなさいよ」

 央太は素早くこっちを向くと目を見開いてあたしを見る。なんでここに?って顔で見てる。
 あたしが同じクラスって知らなかったのねー。あたしも知らなかったけど。

 あたしは席に座ると、鞄を置いた。
「お前大丈夫かよ?」
 央太が小声であたしに言う。
 ここに来たから無事生きてるけどね。

「おでこがばっちり赤くなったわよ」

 さっき見たら赤くなってた。足でグリグリされたから……さすがにあたしでもあれは赤くなる。
 央太がドンマイって顔であたしを見てくるのが腹立つ。けど、確かにドンマイだ。

「まぁ……精神的ダメージの方が大きいけどね」
 拓兄のあたしイジメの新たな手口はまだ免疫がついてないからダメージ大だよ……。
 免疫つきたくないぞ、あんなの。

 というか、止めていただきたい。

「何やられたんだよ」
「んー……セクハラ?」
 あれはセクハラですよね。

 央太が何か考えて、口を開いた時、ドアが勢いよく開いた。そりゃもう勢いよく。
 壊れるんじゃないかってくらい。

 そのドアから入ってきたのは……ああ、夢か。あたし、いつの間に寝たんだろ?
 拓兄がこの教室に来るわけないじゃん。
 さっきのせいで悪い夢見てるんだ。
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