女子DEATHヒーロー
 その後は何事もなくHRは終わった。自己紹介の時、拓兄に暗い奴っていうのを連呼された以外はね!イジメ?
 クラス中に同情されたんですけど!

 あたしと央太は拓兄に逆らえるはずがなく、教室に残った。那奈に一緒に行かないか誘われたけど……泣く泣く断った。
 あたしみたいなのに話しかけてくれるなんて……めっちゃ優しい子!
 可愛くて優しいなんて……あたしの妹みたい。妹も可愛くて優しい。目に入れても痛くないって感じ。

「何の用なんだろうな……俺まで」
「ホント……」
 何言われるんだろ?全然分からないだけコワい。予想がつかないんだよね……なんだろ?
 あたしはとりあえず座った。
 ため息をつくと、窓の外をみた。やっぱり学校が違うと教室からの風景が違う。
 当たり前だけど、少し中学が恋しくなった。
 いつか中学遊びに行こうかなぁ。

 あたしが哀愁を漂わせていると、ガシャンと大きな音がした。
 音からすると、誰かが机を蹴ったんだと思う。央太が不安から情緒不安定になって蹴った?
「央太、物に当たるの禁止……」
 音の方を見ると、居たのは央太じゃなかった。赤い髪の制服を着崩した人が立っている。
 こいつも……ヤンキー?
 背は央太と同じくらいで、顔は……良い顔してる。良い顔してると思う。っていうか、良い顔って何?

「いてっ……たく、こんなとこに机置くとか!アブねぇなぁ」
 ……危ないのら赤君だと思う。ツッコミどころ満載で全部ツッコミきれるか不安だよ☆
 まぁ、めんどうだしツッコまないけど。

 っていうか、央太は?逃げた?
 あたしが央太を探して辺りを見渡すと、赤君と目があった。
 赤君は驚いた表情をしてから笑った。
「あれ?なーんで女の子が1人で残ってんの?襲われても文句言えないぞ♪まぁ、主にオレに」

 ああ、もう!ツッコミたい……何なんだろうね。この赤君。
 央太と違った意味でバカじゃない?喋り方がバカっぽい。

「聞いてる?」
「え、あーまぁ」
 しまった!素のあたしで返事しちゃった。呆れた感満載の声色で言っちゃった。
 赤君がちょっと驚いてる。予想の反応と違ったんだろうね。

 赤君のその目、いたたまれない。バレそう!この人……感がいい。絶対。

 あたしの予想は当たるから。
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