女子DEATHヒーロー
 赤君はあたしをジッとみたままだ。に、逃げたい。
 拓兄の恐怖よりもバレる恐怖の方が大きい。拓兄はちょっとの間我慢すればいいけど、これは……バレたらみんなに広がりそう。

 央太ー!どこ行ったのよ!早く戻ってきて!

 みんなが居なくてガラーンとした教室にあたしと赤君の2人。この状況は何なんだろ?

「……君だれ?」
「あ、えっと……このクラスの者です」

 当たり前か。でも、名前……言って目を付けられたらイヤだし。
「や、あの……あた、私もう行くんで、ごゆっくり!」

 逃げるが勝ち!あたしは立ち上がると、全速力でドアまで走った。赤君がいる前のドアじゃなくて、後ろの。
 赤君がなぜか走ってきてあたしの手を掴もうとしたけど……寸での所で手を避けると、ドアから出ようとした。
 けど、出れなかった。赤君がドアを閉めたから。

 全速力のあたしは必然的にドアに全力でぶつかるわけで……バイバイあたし!
 前頭部から激しくドアにぶつかったあたしは、その反動でフラフラして後ろに倒れた。次は後頭部を強打してそのまま意識を失った。

 兄に鍛えられたおかげで普通の人よりは痛くないんだろうな……なんて思いながら。
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