女子DEATHヒーロー
 あたしと佐々木と央太はソファーに座っていた。
 もちろんあたしは佐々木から離れた所に座る。央太を挟んで向こうに座る佐々木を若干睨みながら。
 時々央太を睨んでみたりしてる。声聞こえてないとかおかしいじゃん。そんなに大声だしてないけど……絶対、気付いてた。
 何か挙動不審だもん。あたしが睨んでるからかもしれないけど。そんなの関係無いよね!

 昔から央太は嘘が苦手だ。
 話しかけるまでずっと一点を見続けてたら、殆どが何か隠してる時。
 若干目つき悪いから、機嫌が悪いって誤解されるんだけどね。

「央太、のどかわいた」
「は?」
「おーた君」
 あたしが言うと、央太はすぐに冷蔵庫まで行った。……使い易いやつだなぁ。
 諦めていつも通りに央太をこき使ってみた。もうバレてるもん……あたしの本性。

 佐々木は興味深げに央太を目で追う。「本当に犬なんだ」とか思ってるんだろうなぁ。

 あたし、犬より猫派だ。
 関係無いけど。

「絢灯ちゃん」
「なに?」

 戻ってきた央太からペットボトルのミルクティーを受け取ると、一口飲んだ。やっぱミルクティーが一番だなぁ。

 
「誰に体売るの?」
 体を……売る?
 その言葉にあたしはむせた。ちょうど飲み込むときだったから。

「なっ、ゴホッな……ゲホッいっゴホゴホ」
 無理、喋れない!央太を見ると、央太はため息をついた。あんたさっきから幸せがめちゃくちゃ逃げてるよ。

「何それ何それ、意味わかんない!……だそうだ」

 央太はあたしが言いたかった事を的確に言った。さすが長い付き合いなだけはある。

 そんなあたしたちをまたニヤニヤと見る佐々木。そのニヤニヤは付属物らしい。

「教えてあげようか?」

 うっわぁ……絶対何か企んでるよ 、この男!この恩着せがましいというかなんというか……な発言。
< 35 / 134 >

この作品をシェア

pagetop